
1.鉛蓄電池って何
身近な物としては、自動車に搭載されているバッテリーです。
鉛蓄電池の基本内部構造は、特殊な鉛でできた正極板と負極板が複数枚入っています。
この正極板と負極板は電解液に満たされており、化学反応により電気を充電したり放電(電気を使う)したりします。
ここで重要なのは電解液が希硫酸であることです。
希硫酸が衣服や手などに付いた時は薄い稀硫酸ですが、時間がたつと希硫酸の水分が蒸発し希硫酸から硫酸になり、非常に危険な状態になりますから万が一にも電解液に触れた場合は直ちに大量の水で洗うことです。
2.鉛蓄電池には非シールド型とシールド型がある
非シールド型
比較的安価な自動車バッテリーのほとんどが非シールド型です。
非シールド型バッテリーは充電や放電を繰り返すと電解液が減ります。
正確には希硫酸の水分が蒸発して結果として電解液が減ることです。
非シールド型バッテリーは、この蒸発した水を補給するための蓋(ネジ式)が準備されており、また内部で発生したガスを排出するための排出口が設けられています。
このため非シールド型バッテリーは構造的に、倒したり横に寝かせると電解液が排出口を通して漏れ出します。
希硫酸は危険です、非シールド型バッテリーは持ち運びをメインとした使い方は不向きであり、もし使用する場合は十分な注意が必要です。
また、内部で発生するガスは爆発性のある水素と酸素ですので火の近くやモータなど火花が発生する近くで使用するのは危険です、タバコを吸いながら扱うのは非常に危険です。
しかし、非シールド型バッテリーはシールド型バッテリーに比べ半分以下の価格で、特に自動車専用バッテリーは量産効果もあって特に安いのですが、バッテリーの説明書では自動車専用バッテリーは目的以外(自動車以外)での使用は禁止すると注意書きしてありますので、目的以外で使用する場合は自己責任となります。
{コラム}
電解液が減った場合バッテリー補助液を補充しますが、補充液は基本的に水です。
店によってはバッテリー用希硫酸が販売されているようですが、絶対に希硫酸を補充してはいけません、電解液は濃くても薄くてもバッテリーを傷めるし、正常な充電放電が行えなくなります。
ただし、転倒などにより電解液が漏れ減った場合は別です。
また、補充液は水ですが水道水は不純物が含まれているので、使用せず必ず専用の補充液を使用してください。
シールド型
シールド型バッテリーの正確な呼び名は「制御弁式鉛蓄電池」となります。(「メンテナンスフリーバッテリー」と明記している場合もある)
シールド型はバッテリー補充液を補充するための蓋や内部で発生するガスを排出するための排出口がありません。
シールド型でも内部では水の蒸発やガスが発生しますが、その発生量を極力小さくなるように作られており、また発生したガスを化学反応により水に戻す構造となっています。
また、機種によっては横に寝かせての使用が可能な物もありますが、全てではありませんので取説やメーカで必ず確認する必要があります。
シールド型は非シールド型に比べ安全面も含め取り扱いやすいですが、逆に注意しなければならない事もあります。
{過大な放電電流}
放電中に発生するガスは放電する電流が大きいほど多く発生します、通常の使い方では発生したガスは水に戻りますが機器(負荷)の故障あるいはショートなどによって過大な電流が流れた場合に発生したガスを処理しきれずバッテリー内部がガスの圧力により高圧になり危険な状態になります。
シールド型はこのような場合に備えて、高圧になったガスを放出するための安全弁が設けられています。
安全弁を過信してはなりません、特に横に寝かせられた状態で安全弁が作動した時は、ガスと共に電解液が放出される可能性があり危険です。
{過充電および急速充電}
非シールド型においてもシールド型でも充電には十分に注意する必要があります。
特にシールド型はデリケートであり、過充電させると寿命に大きく影響され、大きな電流で急速充電すると寿命だけでなく充電時は放電時より、より多くのガスが発生しますので注意が必要です。
3.充電
充電器の選択には注意が必要です。
最近の充電器は粗悪な物は少ないと思いますが、昔はカーショップでも粗悪な物がありました。
充電は固定電圧だけで充電できると思っている方が多いですが、確かに充電するには電圧は必要です、しかし正しく充電を行うには固定の電圧で充電するのではなく、充電状態に応じて電圧を調整する必要があります。(条件により固定の場合もある)
また充電するには印加された電圧により、バッテリーに電流が流れます、この電流も固定ではなく充電状態に応じて制御します。
すなわち電圧と電流の両方を制御しなければならいのです。
これらの制御を無視して充電を行うと(粗悪な充電器で)バッテリーの寿命に影響を与えます。特にシールド型バッテリーは影響を受けやすいです。
{充電器の選択}
各バッテリーメーカは充電器を販売しています、理想的にはパナソニックのバッテリーならばパナソニックの充電器を選択して下さい。
ホームセンタなどで、他メーカの充電器を購入する場合は仕様を確認し、できるだけ高性能の物を選択することです。
またメーカ製の充電器でも他の高性能の充電器でも、使用するバッテリーの型番(仕様)をサポートしているかです。
例えば、大型バッテリー用充電器で小型バッテリーを充電する場合です。(意外にそのような人が多い)
各バッテリーは流せる電流の最大値が決まっていて大型なバッテリーは大きな電流を流せるので、そのまま小型バッテリーに使用すると電流の許容値を超えバッテリーの寿命を著しく短くするばかりか、シールド型の場合危険でもあります。
特に急速充電対応の充電器には注意してください。
非シールド型も同じですが特にシールド型を急速充電する時はメーカが推薦する充電器以外の充電器を使用する場合は要注意。
仮にメーカが推薦する充電器でも急速充電はバッテリーの寿命を短くする傾向がある。
4.環境による鉛蓄電池
鉛蓄電池の心地よい条件とは
{無停電電源装置(UPS)}
パソコンなどに使用される無停電電源装置は比較的1〜5を満足していると思います。
{自動車のバッテリー}
エンジンをスタートさせる時以外は基本的にバッテリーから電気をもらわないので、4ないし5を満足しています。また自動車専用バッテリーは1〜3に対してと、他にセルモータは数十アンペア(100アンペア以上とも言われている)流れるので、それらの過酷な条件にも耐えられる様に設計してあるようです。
{鉛蓄電池を充電式乾電池のように二次電池として使用する場合}
アウトドアなどで鉛蓄電池を二次電池として使用する時は、使用する場所の環境に注意すれば、ほぼ1〜4は満足すると思います。
5.完全放電による鉛蓄電池の寿命
よく一般に、鉛蓄電池の電気を使い切る事を「完全放電」と表現する方がいますが、バッテリーの技術説明書では「完全放電」と言う用語は定義されていません。
鉛蓄電池に充電されている電気容量は減るに従い端子電圧が低くなっていきます。
開路電圧といって、負荷を全くつなげないで電圧を測定した場合約11.5V(12Vバッテリー)で電気容量の残容量が0%近くになり、その後放電を続けると残容量が限りなく0%に近づき、電圧も低くなっていきます。
メーカでは開路電圧が約10.5V(機種により多少異なる)まで下がった電圧のことを放電終止電圧と用語上定義しています、すなわちバッテリーの限界です。
ある意味では「完全放電」とは「放電終止電圧」という事になります。
{放電終止電圧による寿命}
鉛蓄電池を放電終止電圧まで電気容量を使い切ると、寿命が極端に短くなり、最悪の場合「使い捨て鉛蓄電池」となり以後充電ができなくなる可能性があります。
鉛蓄電池の容量を使い切ると「使い捨て鉛蓄電池」となる。
{コラム}
自動車のバッテリー上がりの場合どの位まで放電したかによって違いますが、昔バッテリーはセルモータが動かなく程度の放電でそのバッテリーの寿命は半分になると言われていました。ましてやほとんどの人はガソリンスタンドなどで急速充電しますから、なおさら寿命が短くなる可能性があります(ガソリンスタンドで行う急速充電は市販されている急速充電器よりも強力でバッテリーへのダメージが大きい)。
ただし、ここで言う寿命とは充電放電の回数ではなく使用期間で、例えば本来あと4年間使用寿命があるバッテリーならばバッテリー上がりで2年位の寿命になってしまう事を意味します。
6.自己放電
鉛蓄電池は保存しているだけで、自己放電し電気容量が減っていきます。
自己放電は周囲温度によって大きく影響され、50%まで容量がへる時間例を示すと
となります。
3ヶ月に毎に補充電しましょう
7.残容量に対する寿命
鉛蓄電池の基本は常時満充電状態が理想です。
鉛蓄電池は、どの位電気を消費したか、要するに鉛蓄電池の全容量の何パーセントを使用したかによって、そのバッテリーの寿命が左右されます。
あくまでも一例ですが
全容量の30%(残容量が70%)までの使用が、1200回の繰り返しで寿命が尽きたとします。
それを、全容量の50%まで使用すると、約600回で寿命が尽き、寿命的には半分になってしまいます。もしこれが80%(残容量が20%)まで使用すると寿命は300回になり、90%(残容量が10%)だと100回以下と極端に寿命が縮まります。
しかも使用した後(放電後)直ちに充電をした場合であり、充電をしなしで放置した場合は、もっと早く寿命が尽きます。
総合的に考えて、鉛蓄電池の寿命を重視するならば50%までの使用がベストです。
それ以上は、各個人の考え方次第ですが、80%(残容量が20%)以上は避けた方がよく、また使用後は速やかに充電しましょう。
特に自動車専用バッテリーは影響が大きく、70%(残容量が30%)以上の使用は好ましくありません。
8.比重計による残容量の測定方法
鉛蓄電池の電気容量(充電状態)測定は、基本的に電解液の比重を測りその比重値で判断します。
比重計はカーショップなどで購入できますが、ハッキリ言って初心者には難しいです。
9.電圧測定による残容量の簡易測定
残容量は電圧を測定することにより、およその残容量を推測できその残容量と電圧の関係はメーカより参考値として技術説明書に記載されていますが、条件として負荷を全く接続しないで測定した電圧値です。これを「開路電圧」と言う
鉛蓄電池のタイプ(種類)により誤差(幅)がありますが、だいたい次の通りです。
| 制御弁識鉛蓄電池(公称電圧12V) | |
| 端子開路電圧(V) | 推定残容量(%) |
| 12.7以上 | 100 |
| 12.46 | 80 |
| 12.1 | 50 |
| 11.86 | 30 |
| 11.62 | 10 |
| 11.5 | 0に近い |
10.充電直後の電圧
12Vの鉛蓄電池を充電する電圧は13〜15Vの電圧を必要とします。
充電直後の鉛蓄電池は、この充電電圧に近い電圧が端子に現れている事があり、時間の経過やある程度の電流を流すことによって、約12.7V位の電圧に安定します。
12V仕様の電子機器でも最大許容入力電圧が14V以下の製品もありますので、充電直後の鉛蓄電池を接続する場合は念のためテスターなどで確認した方が安全です。
以上で鉛蓄電池の豆知識は、終了です。
バッテリーに詳しい方には、用語や説明の内容に疑問を感じるかもしれませんが、できるだけ初心者の方に分かり易くするため、砕けた説明になりました悪しからず。
2009年1月